女だった過去をどう捉えるか。男という未来はあるのか。

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どうもこんにちは。髪を切ってもらってきました。爽やかになりました。

実は最近「通称名の使用」に関して取材をされております。話を聴いていただく中で僕が記者さんに言われたのは、「今までにあった当事者の中で、かなり自分の過去を受け入れられている方に入る」ということでした。「へぇ、そうなんや〜」と思ったので今回は僕が過去をどのように捉えているか、というお話を書きたいと思います。

過去は変えられない

僕は女として産まれました。今も戸籍上は女性ですし、きっとこれからもそうだと思います。僕が一念発起して生殖器を切り取らない限りは。戸籍の性別を変えるのは以下の5つの条件をクリアする必要があります。

一  二十歳以上であること。
二  現に婚姻をしていないこと。
三  現に未成年の子がいないこと。
四  生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五  その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律、第三条

そして、僕が女として生まれ、女の子として育てられ、女子テニス部に入って、女子高生ライフを送り、成人式で振り袖を着た(前撮りだけだけど)ことは今後変えることのできない過去の事実です。当時辛くなかったと言えばそれは嘘なのかもしれませんが、皆さんが想像しているほどめちゃくちゃ辛く感じていたかというとそうでもないのです。なぜなら僕にとっては自分のセクシャリティを押し殺して生きている状態が普通だったからです。辛いことだと認知できないくらい当たり前のことだった。今考えるとどうして平気だったのか分からないですし、二度とあんな状態には戻りたくないとは思いますが、少なくとも当時の僕は普通に生活してました。

辛かったにしても辛くなかったにしても、それはもはや過去の話です。僕は過去のことや性別のことを聞かれて隠そうとは全く思いません。むしろネタにしています。あの短い髪を振りそでが似合うように盛る美容師さんの腕はスゴいって話とか、イギリスの空港で男か女かハッキリしなくてボディチェックの人を困らせた話とか。それなりにウケがいいんですよ。

IMGP7020この写真とかまだ結構普通にかわいらしくない?

僕の根本的な考え方としては、今は今を生きるしかないということです。以前のブログで時間を意味するクロノスとカイロスという言葉について書きました。クロノスでいう時間、とは時計で計れるような「一定量の時間」、カイロスは「今この瞬間」という感覚としての時間。このカイロスを大事にする必要がある。今 この瞬間に集中し、過去にとらわれず、未来の妄想ばかりしないこと。結論から言えば、僕が女だった事実は消えず、僕には男としての未来はありません。でも 僕には僕としての未来はあります。

自分は自分を否定しない

トランスジェンダーはどうあがいたって、ホンモノの男やホンモノの女にはなれません。まずこの事実を受け入れられるかどうかなんじゃないかなぁ、と。あくまでもトランスジェンダー止まり。でもそれってそんなに絶望することでもない当たり前のことです。そう考えないと辛いでしょ。絶対に手に入らないものを求め続けるだなんて。それにホンモノの男やホンモノの女がいいことばかりかっていったら別にそうじゃないと思うんですね。

僕が人前でお話をさせてもらうときや、塾講師時代に受け持っていた生徒に話す言葉があります。

「自分のことを一生涯、最優先で考えて、自分のために全力で努力してくれる可能性がある人は、親じゃないし友達じゃない。きょうだいでも恋人でも、まして学校の先生なんかじゃない。自分自身でしかあり得ない」

僕が悩んで悩んだその先で見つけたことがこんなことです。いや、カッコいい感じするけどマジで当たり前のこと言ってるだけなんですよね。でも意外とこの事実を理解していなかったりそう考えられてなかったりするんですよ。だからこそ自分が信頼できる自分でいる必要があるし、人の言うことばっかり鵜呑みにしてたって仕方ない。自分のことを好いて、大事にしてあげなきゃいけない。だから僕は今はもうこんな風に産まれた僕を責めたりしないし、誰1人悪くないことだと認知しています。周りに嘘をつき、自分も騙して生きていた滑稽な僕がいたのは過去の事実だけど、今はそうじゃないからそれでいいのです。

生きてきて触れたその全てが僕を、あなたを構成しています。良いことも悪いことも。そもそも良いとか悪いとか、簡単に判断できるようなものではないし、判断する必要もないことです。ただそれはそれ、あるがままの、一定の事実でしかない。そうした様々な事象が1人の人間を形作っている。そしてそのあるがままの自分を、まずは自分が受け入れること。

もちろん僕がこんな風に考えられるようになったのは周りの人の支えがあったお陰です。そして自分を大事にしていないと、いざってときに人を大事にすることもできないのです。自分を肯定しながら、ただただ自分のペースで前に進む。本当にただ、これだけの話です。

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明日も記者さんとお話をします。僕は口頭での説明が本当に下手なので、こうやってまずは文章にまとめないと話せないらしいです。明日はちゃんと伝えられるといいなぁ。笑