僕が国際協力に興味を持ったワケ:後編

僕が国際協力に興味を持ったワケ:後編

この記事は前編中編と併せてお読みください。

自分のセクシャリティへの嫌悪感を少しずつ減らし、肯定的に国際協力に関わる気持ちが芽生え、公衆衛生学と出会った僕。国際関係学科での残りの時間をどのように過ごすかを考え始めます。

IMGP5193inインド アフリカ大陸全土の人口よりインドの人口のほうが多いって知ってました?僕は知らなかったよ!衝撃的でした。

自分の目で世界を見よう

僕は「国際協力がしたい」と言いつつも途上国に行ったことがありませんでした。海外に行ったのは大学一年生のときの中国の上海万博だけ。「二十歳になるまでに途上国で現場を見よう!」そう思った僕はアクセスというNGOがやっているフィリピンでのスタディツアーに参加しました。五感で感じたフィリピンのスモーキーマウンテンやペレーズのことは今も忘れられません。

アクセスー共生社会をめざす地球市民の会 スタディツアー

また、大学3年次終了後に1年間休学してバックパッカー旅に出ました。いろんな国、主に途上国を見てみたいという思いがきっかけでした。

求めると不思議な縁があるもので、いろんな出会いがありました。初の同い年FTMに出会ったり、日本でOxfam JapanのChange Initiative2011で一緒だった子とたまたま同じ時期にバングラデシュにいて一緒に色んなところに連れて行ってもらえたり、アフリカのナミビアでレズビアンのナミビア人グループに出会ったり…数え切れないほどでした。

ゴミの山で暮らす子供、一本だけの足を引きずりながら人々に声をかける物乞い、道端で横たわり震え続ける老人。嗅ぎなれない匂い、むせかえりそうな埃だらけの空気、でも時に目を奪われ立ちすくむような美しい景色。日本とはあまりにかけ離れた光景や感覚をたくさん味わいました。

 

どこに行っても自分と道連れ

旅に出て、分かったことがあります。それは、自分の性別や過去からはどこに行っても逃げられないということです。タイの山奥でも、ナミビアの砂漠でも、スイスの道端でも。世界のどこに行ったって、逃げられないのです。

「え、男の子?女の子?」

「Are you a boy or girl?」

「लड़के?लड़कियों!?」(←インド人)

…まぁこんなことになるわけですよ。相手がどこの国の人であっても、この質問はしばしばされました。面倒なのでテキトーに気分で答えていました。ちなみに女って答えた方が、危険度は増しますが優しくされます

 

散々しゃべった後に、

「名前、なんていうの?」

「あ…○○(本名)です」

「え、女の子だったんだ!」

ってこともあったり、あとは僕もうまく説明する術を持っていなかったので「やっぱり女の子にしか見えないよ」と言われてしまったり(で、こっそりと凹む)。

旅に出ると、普段の何倍もの出会いがあります。その都度自分の性別の話を正直にしたり、時には嘘をついたりごまかしたり…キツイ。これ、一生続くのか?

要は中途半端な見た目だから「え?あれ?どっち」ってなるんですよね。今は声が変わったので喋ればあまりばれません。むしろ喋ると「あ、男なんだ」ってなる。でも当時はそんな感じだったので、引け目を感じて旅人にうまく心を開けないこともありました。ただ、こうした時期があったからこそ「自分は男性として認識されたいんだな」とはっきり確認することできたように思います。僕の場合は中途半端はいやだなーと思いましたが、性別はグラデーションですからね。

一人で旅をし、いろんな人と出会って、色んな事を考えて、

僕は少しだけ自信をつけて、日本に帰りました。

 

ロールモデルになろう

僕は海外に出てから、もう少し自分のセクシャリティや自分自身の問題についても考えてみようと思いました。特に同じような悩みを持つ子供のことが気がかりでした。悩み迷える中学生、高校生くらいの子供たちを励ますには何が必要だろう?高校生の、まだ自分の本音を誰にも言えなかった頃の僕には何が必要だったんだろう?と。

そうしたときに思い出したのは、僕らにあまりロールモデルがいないことの不安があったことでした。大学出て、就職して、結婚して、子供産んで、家庭をもって、子供が大きくなって、孫ができて…。そんな一般的な道に僕らは乗ることができないのです。

自分が本当に就職できるのか?一生、自分や周りに嘘をつきながら生きていくんじゃないか?将来に見通しが立たなさ過ぎて、僕は自分の人生を他人事みたいに感じていました。どうでもいい。自分の半分が死んでいるような、そんな感じ。楽しいことも、嬉しいこともあったけど、どこかにあきらめみたいなものがあった。

だから僕は自分の目標を達成して、普通の人と同じように生きて、活躍したいと思いました。そして高校生の頃の僕のような子供に「普通の人と同じようにちゃんと生きて、社会の役に立っている人がいるから、大丈夫だよ」というメッセージを伝えたい。そのために、立派な大人になろうと思いました。

 

だからこそ、僕はトランスジェンダーとしてではなくて、どこにでもいる普通の人として飯を食っていきたいと思ったのです。セクシャルマイノリティのタレントさんはたくさんいます。でも、彼らはリアリティに欠けている。自分もああいう風になれるかも、と思い難い、遠い存在です。

だから僕は「普通の大人」になって、トランスジェンダーやその他セクシャルマイノリティの子供たちに「あ、こういう人もいるんだ」と知ってもらいたい。自信を持ってほしい。自分を嫌いにならないでほしい。悩んでも迷っても、くじけないでほしい。

そのために僕は高校生からの夢をかなえようと思いました。国際協力師になって、一人でも多くの人が大切な人と明日を楽しみにしながら生きていける世の中をつくる手助けをしたい。いや、途上国だけではなくて、日本も。生きてるのってすーげー楽しい、って思えたから、そう思える人を増やしたい。

 

 

そんな第一歩として今回は青年海外協力隊に行きます。協力隊に関して言えば新卒の何の資格もない僕が行ったってなんの役にも立たないことは目に見えているのですが、少しでも多くを学びとり、少しでも早く力になれるようにしていきたいと思います。

 

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