赴任1日目―何もない自分に価値を見出そう

どもです。今日は仕事始めの日のお話です。

性別のことにがっつりと釘を刺されて多少動揺した到着の日(前回記事参照)。そして翌日からいよいよ仕事が始まりました。朝から配属先近くに日本語ができる陽気なおじさんのお茶所を見つけて、今後通える場所ができたなーと思いました。

「オジサン、辛い、ダメ!」

...タイ人は意外と辛いのダメな人が多い気がします。

財団の活動と課題

午前中はJさんによる財団の活動の説明から。僕以外にも新しく入った看護師さんと、統計学専攻でインターンに来ている大学生2人組がいたので、彼女たちと一緒に説明を受けました。英語でしてくれました。ありがたい...。タイ語でされてもまだ分からないです。

僕の配属先NGOは結核とエイズに関するNGOです。もともとはリサーチがメインの財団で、今は慈善事業に力を入れています。

要望調査票上の要請内容は以下の通り

(1)活動資金調達

(2)結核治療薬の無料配布準備

(3)北部山岳民族やミャンマーからの移住者などの貧困者支援(通院交通費の支給、治療薬の無料配布)

(3) の活動は結核を拡大させないためにも重要な活動と位置づけられ、それを支えるための「活動資金調達や啓発活動の活性化」が必要とされている。加えて、調査研究活動等への貢献も期待されている。

午後には女性ボランティアグループの代表2名がやってきて、午前中の説明等を受けたうえでの質問タイムをとってくれました。御2人とも御年80歳!タイ語で「若く見えます」と言ったら大笑いして喜んでくれました。

色々と質問をして分かったことは、調査票通り(3)の仕事がメインになるということ。(1)、(2)は(3)に密接に繋がっていて、逆に調査研究に関しては特に僕への期待は大きいわけではないこと。

現状ボランティアグループの課題を簡単にまとめると大きく3つ。

①メンバーの高齢化(平均年齢60歳程度)

→バスで山奥の結核患者を訪れるのは高齢なメンバーにとって負担が大きい

②活動計画のコーディネートがあまりできていない

→メンバーの活動はタイの赤十字からも支援を受けているが、活動計画によって支援金の額が決まるらしい

③円滑な資金調達とそのためのシステムの確立ができていない

→最近口座のシステムが変わってデジタルのレシートになった(これはよく意味が分からなかったが、どうやら寄付金控除に影響があるらしい)。また、信頼できる資金の使い方が確立できていないのでシステムをつくりたい。

 

何がしたいのか?何ができるのか?

Jさんの言うところだと、僕は割と自由にやりたいことを試していっていいようです。

「あなたは2年ここで働いた後、修士号をとりたいんでしょう?そのために繋がることをここで2年間やりなさい」

...なんて優しいんでしょう。

僕はこの日少しだけ財団の課題を発見して、モチベーションが上がりました。でもそれはこんな経験不足、知識不足の僕のためにJさんがそうなるように仕向けてくれたからです。何に興味があるの?どんなことを学びたいの?そうやって質問をして僕の少ない引き出しからやりたいことを引き出してくれたからです。大学の卒論についてとても面白いことを調べたんだね、と褒めてくれたからです。

地方の小さな公立大学の文系卒、正社員経験なし、感染症の知識は独学、コネもなければ特技も専門性もない。

ないものだらけの僕にはないものねだりをしている時間はありません。何もないなら、何もないことの強みを考えるしかないんです。

僕は日本の組織とタイの組織を比較できないから経験豊かな隊員のように日本との差に戸惑って落ち込むことはないし、何もないからプライドなしで何でもできる。何もないから失うものもない。

僕に居場所を与えてくれたJさんに恩返しをするためにも、この国でできることを真剣に考えたいと、そう思いました。

当面3ヵ月は、現状確認からだね。そしてあなたにできることを考えなさい。また4月に会いましょう。私はタイのあなたのお母さんだから

日本人の旦那さんを持つJさんは、そう言って東京へ戻って行ったのでした。

 

仕事終わりに

そして仕事の後はカウンターパートのケンが街を案内してくれました。

「よし、コウ、今日から兄弟ってことで良いか?」

もちろんです。もうケン兄ちゃんです。

ケンは料理を作るのが好きでうるさいところが苦手。タイ語と英語を交えながら楽しく街をブラブラしました。彼のおすすめのものを食べ歩きます。

日本語をちょっとだけやっていたようで、突然「イカヤキ!」とか言い出すのがうけます(実物はない)。気が合いそうな彼がカウンターパートで良かった。サモサがめちゃくちゃ好きっていう共通点も良い。笑

※こういうやつ。インド料理です。

「うまい!!しかも日本だとこれめっちゃ高いよ。僕が働いてたレストランは2個で200バーツだった!」

「高い!!日本の友達に自慢するんだ。これは1つ5バーツ。いいか?5バーツだぞ!って」

アツいサモサトーク。この場で自慢させていただきました。

歩きすぎなくらい歩いて一緒に晩御飯も食べて帰宅。晩御飯中も興味のある学問分野の話ができてとっても楽しかったです。

順調すぎ、ありがたすぎな1日目でした。おわり。

 

最新情報をチェックしよう!