ウソつきと貧困スクリーニング

どもです。最近Facebookで生活保護について調べてるよ、と言ってみなさんの意見を頂戴できたわけですが、そもそもなぜそんなことを調べているのかというお話ですね。

配属先の慈善事業

僕の配属先財団では直接的な医療費以外の医療費、要は病院に行くまでの交通費だとか
病気で仕事をしていない期間の生活費をサポートしています。

とは言っても1NGOなので生活保護のようにある程度生活が成り立つような額ではなく、本当に病院に来る分だけの交通費+100~200バーツ(300~600円程度、以下B)の生活費の支給です。
タイ人の給料は林業や農業などは月収6000Bらしい。)

患者さんには貧困スクリーニングの質問を行います。質問票の項目は以下の通り。

1.次回病院に来るためのお金はありますか?
2.過去一か月間に家にお金が全くないか、100バーツ以下になったことはありますか?
3.過去一か月間にあなたかあなたの家族に、食べるものがない、食べるものを買うお金がないなどの問題はありましたか?
4.もしあなたが経済的に困窮した場合にあなたに手助けができる親戚、兄弟、近所の人はいますか?

あとは項目5で仕事の有無や家族構成・状況など、患者さんとの会話で判明したことをシートに書き込みます。

ガードマンがやってきた

前回の記事で患者さん訪問をした次の日、彼はちゃんとクリニックに来ていました。

http://kamenotsuno.com/2017/05/02/gman/

僕が他の作業をしているうちにいつの間にかスクリーニングが終わっていて、前回同様交通費100B、生活費100Bと書かれていました。

あれ?でもちょっと待ってください。

彼は前日の訪問で家から病院まで自転車で行くと言っていました。そして小エビを売って80バーツ稼いだと言っていました。

僕はそのことを聞いてみました。まずは質問をした看護師さんにです。無邪気を装ってガンガン突っ込めるのが外国人の特権だと思います。コナン君の「あれれぇ?おかしいなぁ?」的な奴だと思ってください。

「どうして交通費100、生活費100なんですか?」(これは大体毎回確認してる)

「娘さんがバイクで送ってくれるからそのガソリン代、仕事をしてないから生活費も100だよ」

一護もびっくり

「昨日彼と会ったんだけど」
「え?どこであったの?」
「彼の家を訪問したんです。JICAの人が来ていたのでY先生とJICAの人と、ピーラー(僕のCP)と」
「ピーラーも?それ私聞いてないよ」
「そうなんですか?(やっぱりホウレンソウしてないんだな)で、彼はここまで自転車でくるって言ってたし、えびをとって売って80バーツ受け取ったって言ってました」
「じゃあウソついてるってことじゃない!」
「うーん、昨日は彼はそう言ってたから…」

僕と看護師さんの会話はたぶん彼にも聞こえていて「やべぇ」みたいな顔になりました。目が泳いでます。分かりやすい動揺。

看護師さんは「この人がそういってるんだけど?」的な感じで患者さんに詰問をはじめました。ごにょごにょしゃべる自称ガードマン。

この辺の会話はネイティブ同士なのでよく聞き取れませんでしたが内容としては今日はたまたま娘さんの仕事がなくてバイクで送ってもらえた、えびは売ってるけどほとんどお金にはならない、とのこと。矛盾はいろいろ残りますが、普通に元の金額通り支給しました。

どうやら他にも嘘をついて交通費をガメている患者さんはいるようで、後日そのことを愚痴っていました。家族に送ってもらっているからガソリン代がいると言っていた患者さんが普通に1人で帰る姿を見たとかで。ちなみに彼もアル中。自分に入れるガソリン買ってんじゃないのか。

看護師さんはタイ人はウソつきばっかり!と怒っていましたが、日本人もウソはつくよ。と教えておきました。生活保護の不正受給の話とかも。

何が正しいのか?

ちょっと申し訳ないことをしたかなぁとは思いましたが。

確かに家を見る限り彼にお金がないことは分かります。家もボロボロだし、エビも大したお金にならないだろうし。まず1回で80バーツ稼げたのかも疑問。月で80なのか?

こんな家

でも彼よりもっとひどい状況の人はいます。家が強風で壊れてしまったとか、エイズにもなっているとか、働けないどころかあまり動けないようなおばあちゃんとか、ちいさい子どもがいるとかですね。

そんなことがあったので「不正受給」について調べていました。そうした不正を防ぐにはどうしたらよいか、何を判断基準にすればいいのか…。

僕が本当のことを言った、悪く言えばチクったのが「正しい」行為なのかどうかもモヤモヤするところではあるのですが、彼よりひどい状況の人を見ているのでなんとなく黙ってはいられなかったんですね。

このウソつき問題は看護師さんも頭を抱えているようです。慈善事業でやる以上、「ホントはお金あるんじゃないの?」なんて言えませんし。ウソをついたら鼻が伸びたらいいのに。でもそんなことしたら世界中の人が鼻を引きずって歩く事態になってしまいますからね。僕も含めて。

全ての患者さんを疑うわけではないのですが、引き続きこのことは気に留めておいて患者さんの訪問に行くようにしようと思いました。

 

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