情けない後悔をしないために

情けない後悔をしないために

はい、どもです。前回が湿っぽかったので次は明るい感じの記事を書きたいなぁーなんて思っていたのに、残念ながら前回より湿っぽくなりそうでございます。お付き合いください。

前回までのあらすじ

・結核、エイズ、さらに薬物中毒の患者チット(仮名)は家で居場所を無くし出ていく。慈善事業対象者。
・その息子(10歳)も父を追って家を出ており、学校に行っていない。
・8月半ばにチットが入院。男の子が「お金頂戴」とやって来るが、同僚と共に「お金はあげられない」と断る。

過去記事:スクリーニング中に一瞬無力感に飲み込まれそうになった話

過去記事:何もできないボランティア

シリーズ化するなんて思ってなかったよ…

行けなかった患者訪問

今月のホームビジットは半年に一回のボランティア総会と被ってしまい、一緒に行けませんでした。Twitterなどを見ていても国によって総会の内容、位置づけがずいぶん違うようですが、タイの総会は隊員同士の交流、外部講師講和(今回はタイ人の仏教観)、帰国隊員の帰国報告などがあり充実しています。

今回は僕も自主講座の担当をしていたため、ホームビジットと被るとなっても総会を休むことは出来ませんでした。

LINEスタンプ制作が終わり、総会も終わったので次の活動に移ろう、と思いチェンライの山岳民族の日系の教育関連NGOと連絡を取ってみることにしました。やはりチットの息子のことが気になっていたからです。何もできないかもしれないけど、簡単にあきらめるのも違うと思いました。まずは2つのNGOに連絡しました。学校の先生にも何か方法がないか聞いてみようと思い、以前お世話になった外国人交流クラブの先生にも連絡しました。

 

その後、CPに今月のホームビジットはどこに行ったのか聞きました。1人は九月頭に来たばかりの新規の患者さん。もう一人はチットでした。8月にあんな状況があったからだと思います。

「でもね、チットには会えなかったのよ」

え?と僕は聞きました。

「知ってる通り、チットには家がないでしょ。森にすんでる。
だからN村の人たちにも居場所を聞いたんだけどね、誰も知らなかったの」

「…入院してるとかじゃなくて?」

「うん、とっくに退院はしてる。でもチットも男の子にも会えなかった」

手遅れだった。今度こそ本当にもう、僕がどうにかもがけるレベルですらなくなっていた。自分のデスクに戻って5分間くらいはボーっとしてしまった。よりによって動き始めた直後に。

FBの今月のホームビジット記録。チットの姿はない。

オレンジ色の後ろ姿

男の子が病院に一人で来た2回目の時、つまり最後に彼に会った時から、僕たちがお金をくれないことを分かり、走って病棟に戻ってしまった彼のオレンジのTシャツの後ろ姿が頭から離れませんでした。

あの時、男の子がまた来るようにお金を少しでも上げるなり何かしていればよかったのだろうか。

僕はマルチタスクが苦手です。同時並行でいろんなことを進めるのが本当に苦手。それを言い訳にLINEスタンプの申請が終わるまでスクリーニングに関すること以外の仕事を増やしませんでした。男の子のことを後回しにしてしまったのです。

何とかしてつなぎとめて、面倒を見てくれそうなところを探すことはできたんじゃないか?そこに男の子が行くか行かないかは別にして、なにか選択肢を増やすことはできたんじゃないか。

そんな気持ちでいっぱいになりました。すぐに誰かに話したかった。でも、少なくともその日の内には誰にも話さなかった。話そうとしたけどやめた。すぐに話してすっきりしちゃいけないような気がした。

チェンライに他の隊員が遊びに来てくれて、一昨日ようやくその話ができました。真剣に話を聞いてくれてすっきりしました。

「残念だし、悲しいけど」と前置きしたうえで「その子がこうちゃんのところに来た意味があると思うよ」と言ってもらって少し楽になりました。

意味を作る

勿論、彼にもっと良い環境を提供できるのがベストだったのでしょう。そして今、この話だけでは意味がありません。僕がこの話を人に伝えること、そしてもう二度と「もっと早く動いていれば…」なんて情けない後悔をしないように肝に銘じること。そこで初めて意味ができるように思います。

タイ人は優しいです。チュワイ(助ける)の精神を持っています。もうこういった子供が増えないように、彼の話をまとめてタイ人向けにも発信したいと思います。

また、彼らとは今回会えなかっただけで、もしかしたらまた会える、クリニックに来てくれる可能性はあります。その時にできることをあらかじめ用意しておこうと思いました。

にしてもな、あああー

悔しいなぁ。

おわり。

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