どもです。一時帰国した隊員に頼んでどうしても読みたかった本を買ってきてもらいました。それがこちら、『ルーキースマート』という本。なぜルーキーがベテランより大きな成果をあげるのかについて書いた本です。メンタリストDaiGoのニコニコ生放送で知りました。
一時帰国した同期隊員に買ってきてもらった本がイイ。とてもイイ。ルーキーの強みについて書いた本。
ほぼ新卒の僕にはぴったり!と思ったけど、協力隊なんて現場に行ってしまえばみーんなルーキーなんだから、これから協力隊に行く人にも現在活動中の人にも読んでほしい。むしろベテランの方にこそ! pic.twitter.com/PEs7QrnFnM— こうし (@Ksr_5463_) 2017年10月15日
かなりいい本でした。若い人も、ベテランの人も「今よりもっと学びたい!」と鼓舞される本だと思います。
表紙が黄緑な時点でもう素晴らしいよ
新しい時代にルーキースマートが有効な理由
筆者の疑問は「なぜ新しいことに取り組むときに、最もうまくいくことが多いのか?」でした。いわゆるビギナーズラックって、本当にただの幸運なのか?ってことですね。
筆者は、ベテランがルーキーよりもうまくいかないことがあるのは環境が変化したせいでもあるとしています。
驚くべきことに、現在世界に存在する情報の総量はほぼ1年半に2倍のペースで増えているのだそうです。生物学的なデータは9ヶ月で2倍に、医療分野の知識も2~3年に2倍、さらに情報関連の仕事に携わる人は2000年の時点で59%と過半数。
仕事の速度は迅速化し、誰もが日々新しい知識を得なければならなくなっています。
そしてテクノロジー産業では年間で30%の知識は時代遅れになってしまうといいます。つまり科学的な情報量が9ヶ月に2倍のペースで増え、1年に30%の知識が時代遅れになるのなら、今僕たちが持っている専門知識は、更新しない限り5年後には有用なものが15%しか残っていないのです。
「知は力なり」はもはや古く、「学びを求めよ」をモットーとすべき時代が来ていると筆者が言うのにはそういう理由があるんですね。
ルーキーは4つのモードに分けられる
筆者はルーキーも時に目覚ましい成果を上げるが、その成功の仕方はベテランとは異なるといいます。
一般にベテランこそ慎重で、ルーキーはリスクをとりたがるイメージがありますが、実は結果は正反対でルーキーこそ慎重に少しずつ前進し、利害関係者の意見を頻繁に聞いてリスクを最小限にとどめようとします。
経験が乏しいが故に他人の言葉に耳を貸し、不安を原動力に早く一人前として評価されようと努力する。そして知識があまりないことの裏返しで、先入観や固定観念に足をとられることもないというわけです。
そんなルーキーの行動の特徴を筆者は4つのモードに分けています。
バックパッカー
一つ目がバックパッカー。バックパッカーには重荷がなく、失うものがないので新しい可能性を求めて世界を探索し、自分に正直に行動することができます。
僕も大学生の頃バックパックを背負っていろんな国を見に行きました。自分が背負える分の荷物しかないわけですから、自由に動き回れますよね。
このタイプの真逆のベテランは「管理人」。
守りたい実績や傷つけたくない評判があり、踏み外さぬよう同じ道を歩き続け、勝手に限界を決めてしまいます。一度手に入れてしまったものにしがみつく、モンキートラップに気をつけないといけません。。
狩猟採集民
二つ目のモードが狩猟採集民。必要な知識と専門技能がないので、自分の周りの世界を理解しようと精査し、導きを求めて他の人の力を借りようとします。
それによって聡明で有能で意欲的な協力者たちのコミュニティを通じ、素早く学習することができます。何よりルーキーは自分が無知であることを自覚していて、ベテランの5倍も質問をするようです。
ヒューレットパッカードの最高情報責任者サウム・メイヤーのモットーの一つが「『知りません』と言うことを恐れない。」だそうです。「知りません」は学習の始まりだと信じ、誰かから新し知識を得れば、その知識をさらに10人に伝えられるからだといいます。
だから「知りません、是非教えてください!」というのはまさに魔法のような言葉なんですね。
これに対してベテランは「現地旅行ガイド」のモードになりがち。知った環境の中だけで自信をもって行動し、そこに閉じこもって、学習よりも助言をすることを好むので、元々持っている固定観念をさらに強めてしまいます。
ファイアウォーカー
三つめがファイアウォーカー。 慎重にして敏捷、というのがこのモードです。
自信がないので慎重に、しかし素早く結果を出すことを繰り返し、周囲にフィードバックを求めます。場数を素早く踏むんですね。
「昨日の自分を超えていけ」という言葉が好きです。日々、昨日の自分をほんの少しでも上回っていくことで最終的に大きく成長できる。忍者が高く飛ぶために木を育てて毎日飛び続けたみたいな話がすごく好きなわけです(本当にそんな忍者がいたかは不明)。
そんな風に、自分の限界よりも少し上に挑戦しアドバイスをもらい続けるのがファイアウォーカーです。
これと反対のベテランのモードは「マラソンランナー」。自信があって、安定したペースで前に進もうとし、「自分の仕事っぷりは素晴らしい!」と思い続けてしまって、独りよがりな行動をとってしまいます。
開拓者
最後の四つ目のモードが開拓者。
地図に記されない、しばしば不快な土地に乗り出し、そこで限られた資源で生き抜くために精力的に行動します。自分で新しいツールや仕組みを生み出したり、アドリブで行動したりと、欠乏感からとにかく生きるために必死で努力します。そして資源も少ない分、ものごとをシンプルにします。
ルーキーは失敗してもくじけずに頑張り続ける可能性がベテランよりも12%高いそうです。また、フルタイムで働くようになって2年未満の人は、2~8年目の人に比べて際立って高い勤勉性を見せるといいます。
この反対が「定住者」。開拓済みの土地に身を置き、前例を踏襲して簡単に手に入る資源に頼り、自分で何かを生み出すのではなく消費者になります。
ベテランも永遠のルーキーになろう
このルーキースマートはベテランが身につけると鬼に金棒です。
永遠のルーキーとは「豊富な経験と実績を重ねていても、ルーキーの思考パターンを失っていない人」のこと。
彼らは驚く心を持ち続けていて、好奇心があり、謙虚で、楽しいことを愛する人たちだそうです。
幸いにもパッと顔が思い浮かぶ人が同期のシニアボランティアの方です。こういう人が身近にいるって素晴らしいと思いますし、そんな大人になりたいと思います。
協力隊員にはぜひ読んでほしい(特に新卒)
上記にある通り僕はほぼ新卒同然(大学卒業後正社員経験なし・派遣社員約10ヶ月)で協力隊に来てしまったのですが、9月ごろからどうも活動がうまくいってなかったんですね。っていうかうまくいってないんですね。
で、
とまぁこんなおひとり問答があったりなかったりして、たどり着いたのがこの本だったんですね。
ただとっても痛いことにKindle版がなかったため(2017年10月31日現在もありません)、一時帰国する同期隊員に買ってきてもらったのでした。紙で読むのもやっぱりいいですね。かさばりますが、電子書籍より圧倒的に記憶に残りやすいです。紙だと物理的に書いてある場所が違うので、位置情報として記憶に残りやすくなるんですよね。
海と月社
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10月末現在、活動はほんの少しずつ上を向いてきました。もちろんこの本を読んだだけが要因ではなくて、あがいてもがいての結果ではあります。しかしながら、この本が僕を更に奮い立たせるのに一役買ったことは間違いありません。
協力隊の活動以外でも、仕事がなかなかうまくいかない、全く新しい場所に放り込まれてしまってどうすればいいかわからない、仕事に慣れてはきたのに最近どうも成果が上がらない、そんな方にお勧めの一冊です。
最後に一番好きな文章を紹介。
「成功は偶然手に入るものだと思っている人もいるけど、”発見にいたる道は、興味をそそる問で舗装されている”ってことを忘れちゃいけない。
この本を推奨しているアダム・グラントの本も大変お勧めなのでこちらもどうぞ!
おわり。