はい、どもです。
ここ二か月僕がとても気になっている本がこちら。
すごく読みたいのですが、Kindle版がないので読めていません。日本に帰ったら読む。
FTMが父親になるということ
現在日本では一定の条件を満たすことで戸籍上の性を変更することが可能です。性別適合手術をすれば手続き後に出生時の性とは別の性に登録を変えることができます。
さらに性別適合手術に公的保険が適用できるようになる予定で、今後さらに性別変更のハードルは下がることになりそうです。
こうした流れを受けて「MTFのお母さん」や「FTMのお父さん」は増えていくでしょうし、同性婚やそれに類似の制度ができることで「お母さんはいないけどお父さんが2人」という状況も増えていくことでしょう。
実際に精子提供を受けて父親になっているFTMは実在し、今ではFTMも「正式」に父親として認められています。
これも最近の話の気がしていましたが、もう4年以上前の記事なんですねぇ。
ここ数年でLGBTを取り巻く環境は著しく変化しています。僕が高校生、大学生の頃に思い描いていた将来像の中では想像できなかった選択肢がたくさん出てきているわけです。
家庭を持つことへの憧れ
僕は基本的に家庭を持つつもりはありません。しかしながら、そこへの憧れをどうしても拭いきれない気持ちがあるのもまた事実です。
もしかしたら僕も結婚できるかもしれない
更には父親になれるかもしれない…
そんな気持ちが時々こみあげてくる。
その一方で精子提供で生まれてきた子供たちがグループを作り、自分の父親について知る権利を訴えるというニュースや、セクシャルマイノリティの親を持った子供はかわいそうという意見を見るたびに、「こういう思いをする子供を増やすことに加担してしまうのかな」と考え、自分の憧れは忘れることにする。
そんなことの繰り返しです。
結婚する「権利」、子供を持つ「権利」
大学生の頃お世話になった先生が「マジョリティは自分たちが結婚したり子供を持ったりすることを権利だなんて思ってない。当り前だと思っている。でも本当はそれは皆が持っている権利なんだよ。だから自分がマイノリティであることを引け目に感じる必要はない。結婚する権利、子供を持つ権利を訴えていいんだよ」と仰っていました。
僕はそう言ってもらえてとても嬉しかった。でも一方で「そうは言っても、こういう引け目は死ぬまで消えないんだろうな」とも思っています。
子供を持つという選択をしたFTMやそのほかのマイノリティを責める気持ちは全くありません。
ただ僕には自己満足を超えてその子を守り抜けるかどうか分からない。その覚悟はまだできない。
僕が安請け合いで「絶対に幸せにできるから大丈夫」と言い切って良い話じゃないと今は思っているんですね。
自分一人の問題じゃない
僕が高校生の頃カミングアウトできなかったのは「こういうことを公表して弟が学校でいじめられたり、両親が何かと噂されたらどうしよう」と思っていたのも一つの理由ではあります。自分がそのことについて責められても耐えるけど、それで家族が傷ついたら申し訳なさすぎます。
今では「家族は家族、僕は僕」と言えますが、そう言えるようになったのはやはり、世間が一定程度寛容になったからです。僕が強くなったとか、家族が強くなったとか、そういうことじゃないと思うんですね。
一方で「自分一人の問題じゃない」にはネガティブなことだけでなく、周りが僕を強くしてくれるケースも含まれています。
「あなたが社会を変えたいなら、少しでも現状を良くしたいなら、一緒に闘うための仲間を探して力を合わせていかなきゃだめだよ」
昔バングラデシュで、ダッカ出身のゲイの活動家の方から言われた言葉です。僕は2014年の1月に帰国して以降その言葉に励まされながら、今まさに悩んでいる人の力になる方法を考えたり、周囲の人に話をしたりするようになりました。
「前例がないなら、前例になればいいやん」
これはJICAに応募しようか迷っていた時に行きつけの美容院の美容師さんに言われた言葉。
セクシャルマイノリティを公表している協力隊員がいなかったため、僕は応募前少し不安になっていました。普通に受験しましたが、最終的にわざわざJICAにカミングアウトしたのはそういう言葉があってのことです。
情けは人の為ならずと言いますが、そうしたことがまわりまわって、いつか僕に覚悟を持たせるような社会への変化に繋がったら良いなと考えています。
まとめ
もちろん「大変なことはあるかもしれないけど、僕と家族になればそれ以上にめちゃめちゃ幸せになれるぞ~!」と胸を張って言えるように、経済力や人間力をつけていくつもりはあります。でも、まだ足りてない。
自分の力をつけながら、ほんの少しずつでも社会に変化を起こしていく。
大それたことはできないかも知れないけど、同じような志を持っている人と小さな変化を起こしていきたいですね。
おわり。