【青年海外協力隊】帰国後の進路と目標について

どもです。今日は帰国後の進路の話。

以前帰国してからやりたいことはもう決まっているっていう話をしました。帰国後にやりたいことはもう8月頃には決まっていたのですが、任期が半分も終わっていないうちに帰国後の話をするのはちょっとはばかられたので、任期が残り一年切ってから書こーと思っていました。

そしたらもうとっくに一年切ってました。早い早い。

当面の目標

帰国後の進路というタイトルで書いておいてなんですが、まだ確定したわけではありません。ただ就活は去年の12月頃からしています。

帰国直後のことは本当に確定したら書くとして、今考えている方向性について書いておきます。

当面の目標は「行動科学と心理学を使って貧困の連鎖を断ち切るための専門家になる」ということです。これを指針にして就活をしています。

専門性を身につける

高校生の頃に国際協力に興味を持った理由は、以前ムダに長い記事を書きました。

 

要約すると、『トランスジェンダーであることは「生物学的におかしくて生産性がない」と話されているのを聞いて、誰の目から見ても分かりやすく社会の役に立つ人間にならないと居場所がなくなってしまうのではないか?と思ったから』という話です。

清々しくクズな理由ですが、まぁ動機は今更変えられないので仕方がありません。

大学で学ぶうちに不純な動機も薄れていき、本当にやってみたい、いろんな世界があることを知りたいと思うようになりました。僕はいろいろとラッキーな人生だったと思っているので、そのラッキーを社会に還元していきたいと素直に思うようになったのでした。

そして国際協力の登竜門とされる青年海外協力隊に応募し、合格しました。

しかし僕がトランスジェンダーであることを言ってしまったので(普通に女性として受験していました)、僕は派遣予定だったアフリカの某国ではなくセクシャルマイノリティに寛容なタイに派遣されることになりました。

 

僕はタイが大好きです。行ったこともありました。

でもThe協力隊というような途上国での活動を望んでいて、派遣予定の国のこともたくさん調べていた僕にとってはとてもショックでした(もちろん様々なご配慮をしてくださった本部の方々には感謝しています)。

そしてタイに来て他の隊員を見て、タイのことを良く知って気が付きました。タイはもはや中進国なので、それなりの技術か免許、または社会経験がないと来られないはずの国だったのです。

僕は新卒も同然で特に免許も技術も経験もありません。だから本来、そんな僕が来ることができる場所じゃなかったのです。

 

悔しかった。僕は仕方なくここに派遣されたんだなというのが手に取るようにわかったから

そして今後自分が本当に行きたい場所に行くためには、大きな組織の中で行くことはできないんだと悟りました。

だからこそ、途上国ではまだまだ受け入れられない自分のセクシャリティ面のことを差し引いてでも「欲しい!」と言われるような人材になるために、専門性を身につけなきゃいけない、そう思いました。

 

自分が好きなことの専門性を高めよう

僕は心理学が好きです。大学を休学している頃から心理学熱が再燃し、本を読むようになりました。心理学というタイトルのものだけではなく、脳科学、行動科学など、人間の判断や性格、行動にまつわる本を多く読みました。

派遣が延期になって実家に帰ってから『影響力の武器』という本に出会いました。派遣は確定し、訓練所に入る前の話です。

 

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ
誠信書房
売り上げランキング: 289

僕はこれだ!と思いました。

人間の行動の特性を活かして小さな工夫をすることで大きな変化をもたらすことができる。これは面白いと思いました。行動経済学でいうナッジがまさにそれに当たります。

ナッジとは、「背中を押したり、肘で軽くつつく」といった意味であり、選択肢をうまく設計・配置することによって、人の背中を押すように、人々に適切な選択をさせることやその手法を指す。

『ナッジは背中を押す方法』 より引用

そして僕は途上国支援や貧困問題の解決にこの小さな工夫が使えるんじゃないか、と思いました。

調べて分かったのは、2015年の世界銀行による世界開発報告「心・社会・行動」がまさにそんな内容だということ。

 

アメリカに「エンパス」という団体があり、脳科学などの科学的根拠に基づいて、家族全員の行動を効果的に変え、貧困の連鎖を断ち切ることを目指して設計したプログラムを行っていること。

 

そしてそういったことを掲げている団体が日本には見当たらないということ、

まだまだ新しい分野であるということ。

 

何より僕自身が楽しく学び続けられることが一番大事です。

心理学や行動学を勉強するメリット

興味があるということ以外に、もう一つ大きなメリットがあります。

それは心理学や行動学は、人間がいるところであればどこに行っても役に立つということです。

僕は非常に飽きっぽい方です。あまり自覚はありませんでしたが、最近そうだなと思っています。黄緑好きの特徴にも飽きっぽいというものがありました。

飽きっぽいと言うと聞こえが悪いですが、要はある程度はまった後は他の場所や他のことに興味を抱きやすいということ。

でも心理学や行動学の専門性があれば、教育、医療、貧困、経営…ヒトが関わる全ての分野でそれを活かすことができます

僕が大学院で勉強したかった公衆衛生もそうです。イチロー・カワチさんの公衆衛生と行動経済学という本も出ています。

 

Behavioral Economics and Public Health
Oxford Univ Pr
売り上げランキング: 14,059

タイで患者さんと接していて、そうした患者さんの行動変容にも行動学や心理学は使えるなと思いました。

活動の場所

上記の理由から「場所」に依拠した専門性も避けたいと思いました。鹿児島を出て、日本を出て、改めて日本国内の問題に興味を持つようになりました。特に日本の貧困問題に興味があります。

少し話が変わりますが、ふるさと鹿児島の話をさせてください。

鹿児島は自然が豊かで子育てがしやすい環境、そんなイメージがあるかもしれません。

しかし子育て世帯の貧困率は全国3位。沖縄、大阪に続いての3位です。

移住してくるような余裕がある人には良い環境なのかもしれませんが、もともと住んでいて暮らし向きが良くない人々にとっては子育てがしやすい環境ではないような気がします。

というのも非常に保守的な土地柄故か、男尊女卑は根強く、貧困に関しても「頑張っていない人の自己責任」という捉え方が非常に目立ちます

僕はラッキーだったと言ったのは、鹿児島生まれで女なのに県外に出て勉強させてもらえたという点も含まれます。もちろん外に出た同級生はたくさんいますが、「親が鹿児島から出るなっていう」という友達も割といました。川内のFTMの高校生に会いに行った時は「川内市から出るな」と親に言われると言っていたのも驚きです。

僕が日本の貧困に強く興味を持ったのは「日本に貧困なんかないんだよ」と身近な親族が言っているのを耳にしたからです。僕は冗談で言っているのかと思いました。

だから僕は日本で貧困を断ち切る術を身につけて、それを以って最終的に国際協力に戻ってこようと思っています。15年、20年くらいのすごく先の話になるかもしれません。

 

帰国後に必要なこと

以上を踏まえると当面の間、帰国後に必要なのは

・心理学・行動科学の知識と学位(修士以上、そしてそのための資金)

・日本の貧困現場での経験

・社会問題と直結したリサーチ経験

と考えています。これが正しいかどうかは分かりませんが、今はこれらを手に入れるにはどうしたらいいかなーと考えながら就活中です。行動するうちに不足している部分は見えてくると思います。

 

おわりに

それこそこういうのを書くのって恥ずかしいなと思いましたが、自分が本当にやりたいことだから、外に出していればそれによる繋がりができたり、誰かが力を貸してくれるかもしれないと思って書きました。

僕は何の技術もない、ちっぽけな人間です。だから誰かに協力してもらわないと働けません。

タイにいる間にも、帰国後の目標に近付けるようにできることをやっていこうと思います。

おわり。

最新情報をチェックしよう!