『悪童日記』のあらすじと解説 ※ネタバレあり

『悪童日記』のあらすじと解説 ※ネタバレあり

どもです。昨年読んでよかった小説ベスト3に入るであろう小説がこの悪童日記三部作です。ベストセラー本らしいけど知りませんでした。

悪童日記三部作は、1作目『悪童日記』、2作目『ふたりの証拠』、3作目が『第3の嘘』となっており、1作目の『悪童日記』は映画化されています。僕も読んでから見ました。Amazonビデオでも見られます。

予告編だけでもなかなか迫力があるので世界観が伝わります。 双子が美しい

 

 

で、これ読んだことある人なら分かると思うのですが、途中からだんだん意味が分からなくなってきます。僕のおつむが悪いこともあるかもしれませんが、十中八九の人は混乱するのでは?読者を裏切る系の小説ですね。

そしてその手法は小説ならではであり、読めばなぜ1作目しか映像化されていないかがよく分かるかと思います。そういうトリックが仕掛けられてるんですね。

では、ネタバレいっちゃいましょう。というか僕が読んでて全体がよく分からなくなったので整理させてください。文学的な感想は僕の出る幕ではないので書きません。あと性描写が割とあるのでそういうのダメな人にはおススメしません。今回は1作目の悪童日記のあらすじまとめです。1作目は割とシンプル。

 

悪童日記

導入

物語の舞台はハンガリー動乱の時期のハンガリー。双子の「ぼくら」のお話です。

悪童日記の時点では彼らの名前は出てきません。

「ぼくら」はあるときが来るまでずっと行動を共にします。

物語は「ぼくら」がハンガリーの大きな町(ブタペストと思われる)から、小さな町にある母方のおばあちゃんの家に預けられるところから始まります。疎開してきたんですね。

おかあさんは不仲のおばあちゃんに罵られながらも、2人を守るためにおばあちゃんの家に預けて去っていきます。おとうさんは戦争に行っています。

 

”汝、殺すなかれって言うけど、みんな殺してる”

そんな言葉が示す通りの厳しい戦禍を免れるべく逞しく成長していこうとするぼくらですが、まぁその逞しくなろうとするやり方が普通じゃない

体を鍛えるために2人で殴り合いをしたり、精神を鍛えるためにお互いを罵りあってから街に出て行って、わざと人に罵られるようなことをして自分たちが動じなくなったことを確認したり。

さらにはおかあさんの優しい言葉を思い出しても涙が出ないように、ひたすら意味を感じなくなるまで繰り返したり…。読んでる方の胸が詰まりますね。

 

大きなノート

そして2人は頭も鍛えるために作文や算数、聖書の朗読や書き取りをします。

2人は<大きなノート>にお互いに出し合った課題に沿って文章を書きます。原題の”Le Grand Cahier”はフランス語で「大きなノート」という意味です。2人がこの大きなノートに書いた作文こそが悪童日記なんですね。

この作文に関する説明はまさに悪童日記の説明そのもの

ぼくらは、「ぼくらはクルミの実をたくさん食べる」とは書くだろうが、「ぼくらはクルミの実が好きだ」とは書くまい。「好き」という語は精確さと客観性に欠けていて、確かな語ではないからだ。「クルミの実が好きだ」という場合と、「お母さんが好きだ」という場合では、「好き」の意味が異なる。前者の句では、口の中にひろがる美味しさを「好き」と言っているのに対し、後者の句では、「好き」は、ひとつの感情を指している。

感情を定義する言葉は非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け、物象や人間や自分自身の描写、つまり事実の忠実な描写だけにとどめたほうがよい。

僕がおおお、と衝撃を受けてのめりこみ始めたのはこのページの辺りから。

そして「客観的事実」が淡々と述べられているだけにもかかわらず、2人の感情や情景が痛いほどに伝わるのがこの本の凄いところです。

 

ところがですよ、これも事実ではないんですね。つまり事実の忠実な描写ではないことが2部の『ふたりの証拠』で明らかになります

 

淡々としてはいますが、性描写も出てきます。同性愛、獣姦から、急に様子が変わった従姉をつけて恋人との性行為の偵察をしたり、ショタコンの女中に性器をしゃぶられたりと、激しめですね。

 

結末

ケチで汚らしいおばあちゃんの意地悪にも慣れ、だんだんと仲良くなったころにおかあさんがお迎えに来ます。

が、おかあさんには進駐軍の将校との間に私生児ができていました。すっかり逞しくなっておばあちゃんともそれなりに仲良くなった双子は帰ろうとしません。

そうこうしているうちに庭に砲弾が撃ち込まれておかあさんが赤ちゃんもろとも死亡。とくに悲しむ描写もありません。実に淡々と話は進みます。

 

戦争が終わっておとうさんも来ます。

妻はどこだと尋ねるおとうさんに、おばあちゃんが土の中だと答えると、死者は墓地に葬らないかんと言って掘り起こそうとします。

よしなよーと止めるおばあちゃんをよそに降りしきる雨の中妻を掘り起こすおとうさんの目の前に現れたのは、妻の骸骨。

そして、その胸部にくっつくとても小さな骸骨。知らぬ間に自分以外の男と妻との間にできた子供の存在を彼に知らしめるものでした。

 

数年たっておとうさんがまたやってきて国外逃亡をすることを2人に話します。

地雷をよけるもっともらしい方法を説明しておいて、おとうさんに先に行かせ、おとうさんは地雷で死亡。そしておとうさんを踏んづけて他の国へ逃亡

しかし逃げたのは1人だけ。もう1人はおばあちゃんの家に戻ります。ここで初めて「ぼくら」がそれぞれ違う行動をとり、悪童日記はここで終わり

この1作目だけでも十分鳥肌ものです。

 

複雑になるのは次の『ふたりの証拠』から。『悪童日記』までは地名も登場人物名も出てこない分あまり複雑ではありませんが、「ぼくら」の名前も明らかになりいよいよ複雑になります。

今回はこれでおわり。