はい、どもです。昨日6月24日に福岡で、ある有名なブロガーが刺殺されたのだそうです。
事件の経緯
2018年6月24日、Hagexという名前でブログを書いていた岡本顕一郎さん(41)が福岡の大名でセミナーをしていたんですね。
そしてセミナーの終了直後に松本英光容疑者(42)が岡本さんを刺殺したのだそう。
県警によると、松本容疑者は24日午後8時ごろ、福岡市中央区大名2丁目の旧大名小学校跡地の起業家支援施設で、インターネットセキュリティー関連会社「スプラウト」の社員、岡本顕一郎さん(41)=東京都江東区東雲2丁目=をナイフ(刃体約16・5センチ)で数回突き刺して殺した疑いがある。
この施設では同日午後5時半からIT関係のセミナーが開かれ、岡本さんが講師を務めていた。終了直後、施設内で待ち伏せしていた松本容疑者が、トイレに入った岡本さんを襲ったとみられるという。岡本さんは「Hagex」の名前でブログを書いていた。2人はネット上の関わりしかなく、直接の面識はなかったとみている。
―https://www.asahi.com/articles/ASL6T3FHML6TTIPE006.html?iref=pc_extlink
一方の松本容疑者はネット上で「低能先生」と呼ばれていた人物。なにかにつけて相手を「低能」と呼んでいたから「低能先生」と呼ばれていたのだそうです。
ネット界隈の反応
これにはネット界隈もざわついています。
まずHagexさんにたたかれまくっていたはあちゅうさん
ハゲ子、ほんとバカだよな…。知らない人だけど。イベント来たんなら、hagexですってこっそり教えてくれたらよかったのに。どんな人だったんだよ。人となりを知りたかった。知らないし、喋ったことないから何も言えないわ。悲しい。
— はあちゅう(こっちはサブアカ) (@bot_hachu) 2018年6月24日
ほんと、私のことなら恐ろしいくらいなんでも知ってましたよね...。
私なら腹パン一発で許したのに、
マジのヤツに恨まれて、バカですよ...。 https://t.co/SX7PeYUJQo— はあちゅう(こっちはサブアカ) (@bot_hachu) 2018年6月25日
自分を叩いていた人ではあるけれど、死んでしまうのはショック過ぎたようです。そうですよね。だって愛情の反対は無関心って言うぐらいですから、Hagexさんははあちゅうさんに対して特殊な形ではあれ、強い関心を抱いていた人なわけです。
そしてイケダハヤトさんも言及
hagex氏には一方的にdisられてたし、過去ログ漁ればぼくに対する誹謗中傷山ほどありそうだけど、だからといって執筆活動が原因で殺されてしまうのはあんまりだよなぁ……。一方的に難癖つけて恨まれることはブログ書いてたら誰にでもあるし、他人事じゃない。
— イケハヤ (@IHayato) 2018年6月24日
イケダハヤトさんもアンチ多いですからね。
僕は「こういうことがあるとブロガーは読む人を選ぶために有益な情報をタダでは流さなくなっていくよなー」と思っていましたが、イケダさんは同じようなことをすでにブログに書いていました。
実際、リアルな社会というのは、かなりクローズドですよね。
大学・会社に入るためにも「試験」がありますし、婚活だって収入要件があったり、家を借りるのだって借金をするのだって「足切り」があります。
一方で、今までのウェブは、足切りがほとんど行われてきませんでした。
それはインターネットの美徳のように思われてましたが、別にそれは、単に技術が不十分だっただけだと思うんですよね。
足切りできるようになったら、みんな足切りしますよ。そっちのほうが合理的ですから。
今までのネット関連の殺人事件との決定的な違い
インターネットで犯行予告をしたり、犯罪後に犯行声明を書いたりという事件は多くありました。
ネオ麦茶のバスジャック、秋葉原の無差別殺人…。
ただしこれらの事件は、「主に日常生活で貯まった鬱憤を、不特定多数を巻き込むことによって晴らそうとした」事件です。あくまで彼らの表現の場がネットだっただけ。
それらと決定的に違うのは、「ネットで貯まった鬱憤を、ネット上で自分を不快にさせた人間を殺すことで晴らそうとした」ということ。
もちろんいくつかのサイトで述べられているように、必ずしもHagexさんを狙おうとしたわけではなくて、「たまたま最も近くにいて、自分のことをネット上で虐げてきた人の一人」であれば他の人物でも良かったのかもしれません。
彼の犯行声明からはそう読み取ることもできます。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1806/25/news107.html
発信者はレピュテーションリスク、怨恨、プライバシー等のリスクを負って発信している。そのリスクの発現方法は今までは掲示板やTwitter等での悪質な書き込み、訴訟、あるいは怪文書や物理的嫌がらせ。「殺害」というのは恐らく初めてで、まさにテロ。
— 米重 克洋 (@kyoneshige) 2018年6月24日
テロだというのもうなずけます。ある意味「ネット弁慶だと言って人を馬鹿にして議論の場を奪ったらこうなる」という、第三者への見せしめ的に行っているので、テロと言って過言ではないでしょう。
ネット上でお互いに顔を知らない同士で揉めるのはあるけど、殺人事件まで行ったケースは日本では初めてな気がします。
ネットで他人を追いこむとこういう結果にもなる場合があると。。。
>【ネット殺人】 有名ブロガーHagex氏を殺害した犯人「低能先生と馬鹿にされ殺意か」https://t.co/6EQpiXgwPZ
— Hiroyuki Nishimura (@hiroyuki_ni) 2018年6月24日
ネットで受けた不遇をリアルで晴らすという意味では、以前記事を書いた「小金井ストーカー殺人未遂事件」も近いかもしれません。
ただしこの場合は好意から始まったストーカーで、一方は顔を知らないわけではない。プレゼントを送り返されたなど、明白な特定人物への殺意が事件に繋がっているので、本当にネット上のみのやり取りがテロリズム的な殺人に発展したのは初めてのことでしょう。
過去記事:僕が殺人犯にならなかったのは
所感
社会心理学的には、こういった事件の後は模倣事件が多く起こると言われています。ウェルテル効果というものですね。
この事件直後である今は同様の事件が発生しやすい状態にあると言えるので、有名ブロガーの方やネット上で発信している方は本当に気をつけた方が良いでしょう。
また情報がどんどん制限されていってしまうのも、惜しいというかもったいないというか…発信する側からしたらそれは勿論リスクはとりたくないので何とも言えません。しかしインターネットの「フラットなシェア」を危うくしてしまった事件と言えるでしょう。
ざっとした所感ですが、もうちょっとよく考えてみたい事件ですね。
おわり。