『サイコパス』の感想と要約-サイコパスの特徴と存在意義

どもです。最近中野信子さんの「サイコパス」を読みました。その中でも社会におけるサイコパスの存在意義の考察が面白かったので簡単にまとめてみたいと思います。

サイコパスの特徴

まずは簡単にサイコパスとはなにかをまとめてみます。

サイコパスの特徴は

・痛みや不安を感じにくい

・短期的な利益を考えがち

・共感能力は欠けているが、相手の感情を読み解くことには長けている

などが挙げられます。

同じサイコパスでも、目先の利益だけに囚われてその後被る損失を甘く見積もり、捕まったり罰せられたりしてしまう「負け組サイコパス」

人の弱みを握るなどしてうまく立ち回り、巧みなトークやプレゼンテーション能力人の心を掴むことで高い社会的地位を得る「勝ち組サイコパス」に分かれるといいます。

 

僕たちが暮らしの中で接する(被害をうける)のは「勝ち組サイコパス」だと言えます。彼らは捕まることなく、法に触れるか触れないかのところで人の生活に支障を与えるためです。

そんなサイコパスはおよそ100人に1人の割合で存在するのだそう。結構いるってことです。仮に300人の学年なら、同級生に3人はサイコパスがいることになります。

 

集団を乱し、人を裏切り、自分の目的のためなら手段は問わない。社会的な善悪の判断が理解できない…

社会生活の中ではではかなりリスキーとも見えるサイコパスの性質は、なぜ淘汰されずに受け継がれていくのでしょうか?

 

サイコパスは革命を起こす

サイコパスは常に自信満々です。不安や恐怖を感じにくいからです。

そうした特徴により、彼らは積極的にリスクを負って新しいことに取り組もうとします。リスキーな行為が好きなのも革命や大刷新に向いた特徴と言えますよね。

プレゼンテーション能力もあるので、誰もが自信をなくす状況下で自信満々な態度で言葉巧みにチームを盛り上げれば、周囲の人にはかなり魅力的に映ることでしょう。

その結果集団をまとめ上げて(もしくは利用することで)革命が起きたり、新しい土地を発見したりしたのであれば、「サイコパスは人類の進歩に貢献した」ということになりますよね。

「スティーブ・ジョブズはサイコパスだったのでは?」は巷でもよく言われており、本書でもそう書かれています。

 

サイコパスが生きやすい社会

また、サイコパスが生きやすい価値観の社会も存在するのだそうです。

サイコパスが生きやすいのはブラジルのアマゾン南部の盆地に暮らすムンドゥルク族という先住民族の社会。

彼らの社会は非常に競争的で、男に求められるのは「雄弁」「恐れ知らずの勇敢さ」「戦闘に秀でていること」であり、彼らは日頃から話を誇張して虚勢を張り、自分がいかに危険な男であるかをアピールするのだそうです。

うーん、まさにサイコパスの性質が生かされる社会ということですね。

 

そしてムンドゥルク族は乳離した幼児に、父親も母親もほとんど世話をしないのだそうです。子どもは生きていくために自活する方法を迅速に身に着けます。

というのも食料をはじめとした生きていくための資源は豊富な環境にあるため、それでも自活して生きていけるのだとか。

 

他にもブラジル北部からベネズエラ南部にかけての熱帯雨林地域に住む、ヤノマミ族もムンドゥルク族とよく似たサイコパスに有利な社会なのだそうです。

その社会では、男は強さが第一、乱婚や殺人も認められている社会なのだそう。ヤノマミ族もムンドゥルク族同様、豊かな土地に住んでいて、1日3時間ほど労働すれば食べていけます。

 

逆にサイコパスにとって生きづらいのは「人と協力すること、和を重んじること」が良しとされる社会です。こうしたムンドゥルク族やヤノマミ族と対象的なのが、南アフリカのカラハリ砂漠の狩猟採集民、クン族

彼らは食料に乏しく、生存に困難な生活条件に置かれています。協力体制を取らないと生きていけないので、ウソが厳しく禁じられ、一夫一妻制で、配偶者は慎重に選ばれるのだそうです。

私たち現代日本人にはクン族のもつような価値観には馴染みがありますが、それが人類の普遍的な価値観ではないのです。サイコパス的な特性は、生まれてくる環境によっては、むしろ望ましいものとなるのです。

-サイコパス P174より引用

 

考察と感想

上記の例から考えて、サイコパスにとって生きやすい社会の条件が「資源が豊富、すぐに飢えて困る状態ではない」であることだとすれば、現代の日本はサイコパスにとっては生きやすい社会と言えるかもしれません。

様々な事情はあるにしても、大半の人にとっては仕事を選ばなければ比較的飢えの心配はない国だからです。ただし社会的な結びつきは強いので、いわゆる勝ち組サイコパスでなければ生きていくのは難しいでしょう。

逆に考えると、豊かになればなるほどサイコパスにとっては生きやすい環境が生まれます。しかしもしも豊かな環境がなくなれば、強調しなければ生きていくのは難しい…。

世界的な潮流としてはやはり、騙し奪う人よりも、与える人が有利であると言われています。物質的には豊かとはいえ、変化の大きい時代だからでしょう。

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中野さんはサイコパスとは「共生」していくしかないと結論づけています。サイコパスは人為的な介入で用意に矯正できるものではないからです。むしろ介入によって犯罪率が上がったという結果もあるのだとか。

自分にはなかなか理解できない人のことを、こうした本を読んで理解するのは大切なことだと改めて感じました。気になった方や、「もしかして自分もサイコパス?」と思った方は是非。

 

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おわり。

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