成績を伸ばしたいなら勉強の仕方を勉強すべし―実験心理学に基づく勉強法まとめ

どもです。僕は大学生の頃4年間、塾講師としてアルバイトをしていました。

そこでわかったことは、成績がいい子は勉強の仕方そのものをよく分かっているか、もしくは自然と実践できているということ。

逆に頑張っても頑張ってもなかなか成績が伸びない子は、効率の良い勉強の方法を知らないだけだということ。

つまり、頭がいいとか悪いとかではなく、「正しい勉強法」を知っていれば成績は伸びるんですね。でも、その方法は教えてもらえません。

 

かく言う僕もかなりの「効率の悪い人」だったので、とにかく「勉強の方法の勉強」をしました。

今回は、実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: 復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!』という本からいくつかに、すぐに使える科学的根拠のある勉強法を紹介していきます。

 

①復習はその日のうちにやるな!1:5の法則

「家に帰ったらすぐに復習すること!」

学校で先生にそう言われたことはないでしょうか?

でもこれは本のタイトルにもある通り、実験心理学の結果から見ると大きな間違い

2008年の実験によると、学習と復習を続けて行ったグループと、間隔を開けて復習したグループとでは、後者のほうが成績が良いことが分かっています。

さらに初学習から初復習までの日数と初復習からテストまでの日程は1:5がベストであるということも分かっています。

また、2007年の実験では「徐々に復習の間隔を延ばすのが良い」というこれまでの考え方が正しくないことが証明されています。等間隔で復習したほうが成績が良かったんですね。

ここまでをまとめると、「初学習から初復習までの日数と初復習からテストまでの日程は1:5とし、その後は定期的に復習するのがベストということになります。

 

②暗記したいなら分散学習、理解したいなら集中学習

学習の方法には、一定の間隔を開けて学習をする「分散学習」と、集中的に一気に学習する「集中学習」があります。

分散学習は①からもわかるように暗記に向いています

集中学習が良くないのかと言えばそういうわけではありません。理解に向いているのは集中学習です。

数学の解き方を理解したり、英語の文法を理解したり、とにかく分かっていないことが1度腑に落ちるまでは集中学習のほうが良いということ。

一度理解してしまえば、あとは1:5の法則で復習して行けばよいということですね。

 

③暗記カードは多いほうが良い

暗記カードは多い方が良いのか、少ない方が良いのか?

 

実はこれは多い方が良いんです。カードが多ければ多いほど、同じカードに出会うまでの間隔が開くからなんですね。つまり分散学習の効果が発揮されるんです。

これにはなるほどーと思いました。

 

④系列位置効果をうまく利用する

以前の記事でも書きましたが、単語カードを上手く活用するには、系列位置効果を意識することも有効です。

例えば単語帳の最初の方の単語終わりの方の単語、歴史一問一答の旧石器時代だけはやたら覚えているということはないでしょうか?

江戸幕府初代将軍は覚えているのに、2代目3代目は出てこないということもあるでしょう(この場合は単純接触回数の問題でも有りえますが)。

 

人間は初めの方のことと終わりの方のことはよく覚えていますが、真ん中の記憶はこんがらがりやすいんですね。

逆に言えば、覚えたいことは初めの方と終わりの方に持ってくれば良いんです。つまり毎回学習する順番を変えることで、全部の項目をもらさずに記憶できるということ。

単語カードならそれがしやすいですよね。シャッフルしてやってみましょう。

 

⑥覚えたいならアウトプット=小テストしよう

復習の際にはノートや参考書を読むだけでは頭に残りません。

アウトプットする、つまり小テストをすることが重要です。

このことについては池谷裕二さんと中村うさぎさんの対談本、『脳はこんなに悩ましい』の中でも触れられています。

 

池谷 たとえば、外国語の単語を暗記するためには、単語リストを何度も何度も眺めて覚えることよりも、とにかく確認テストをしてみるのです。間違えたらまた覚えて確認テスト、という手順を繰り返した方が記憶の定着が良いんです。

中村 テストをするのが重要なんですか。

池谷 はい。単語リストを見て学習するというプロセスは「入力」に相当します。テストで問題を解くのは知識の「出力」です。脳は「この情報はこんなに使う場面が多いのか」と重要性を判定するんです。出力の機会が多ければ多いほど、記憶は定着する。脳は出力依存なんです。

中村 なるほど!知識詰め込み型ではダメなんですね。イメージとしては「出力は結果である」と思いがちですよね。でも違うんだ。出力が原因になって、結果がついてくるわけですね。

池谷裕二・中村うさぎ 『脳はこんなに悩ましい』 より引用

 

僕は塾講師時代、「成績が伸びない!」と言う子に対してはこれを重視していました。

授業の中で単語カードをフラッシュカードのように使い、とにかくアウトプットをさせまくるのです。

どんなに成績が悪い子でも、「覚えるの無理~」とゴネる子でも、この方法で40分の授業中に単語を10個覚えるくらいなら余裕です。でもみんな「え!全部覚えられた!」とびっくりするんです。

 

そしてできたら思い切り褒める。次の週にまた同じカードをさせると、大体全部覚えているんですね。

おそらく、そういう子は特に覚えられたという成功体験が嬉しくて、家に帰っても自分で復習している。

僕が頑張ったのは授業中にカードをめくりながら「これは?」「はい次これは?」と出力を促し、生徒の性格に応じた言葉で煽り(笑)、悔しがったり喜んだりさせることだけ。あとは生徒自身の努力です。

こういう体験があるとその後のインプット型の授業も真剣に受けてくれるようになります。好循環が生まれるんですね。

 

⑦答え合わせは最後にまとめてやるべし

では小テストをやってみよう!となった場合、小テストの復習の仕方にもコツがあります。

例えば20題の4択問題を解いて復習する場合、5問ずつ解いて復習するのと、20問全部解いてから復習するのではどちらが良いのでしょうか?

答えは20問全部解いてから!これも分散学習の効果を応用したものですね。

 

遅れて答え合わせをすることにはもう一つ効果があります。それは「自分の間違った解答を忘れる時間ができる」ということ。

同じ間違いを繰り返す不思議は「自分の間違った解答を正答と思ってしまう」ことに秘密があったのかもしれません。

 

資格取得を目指す社会人や受験生におすすめの1冊

この本、表紙だけ見たらなんだかすごく胡散臭いんですよ。変な絵だし。笑

Amazonレビューでは「下品な漫画が邪魔」と書かれていました…笑

だけどこれはメンタリストDaiGoも紹介していた、かなり良質な本なんです。完全に本のデザインによる失敗ですね…この本は現在絶版となり、Kindle版しかありません。

今回紹介したのはあくまで一部。主にテクニック編から紹介しましたが、メンタル編も面白かったです。

例えば、テストで緊張したらワーキングメモリーが働かなくなって成績が落ちるけど、不安に思っていることを全部書き出すことでワーキングメモリーが回復し、力を発揮できる!なんてことも書いてあります。

 

 

こういう勉強の仕方ってなかなか教えて貰う機会はありませんが、今回紹介した本にはこうしたテクニックがたくさん載っています。

受験をひかえた学生、資格試験の勉強に励む社会人、勉強が苦手なお子さんを持つ方、色んな人におすすめできる1冊です。

おわり。

 

 

 

 

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